マルク・シャガール展②

~愛のリトグラフを集めて~
「マルク・シャガール展」

好評開催中~27日(日)まで

〈シャガールとピカソ〉

20世紀の巨匠といえば、まず思い浮かべるのはピカソ(1881~1973)だと思います。同時代に活躍した二人の画家はお互いの才能を認め合い、生涯にわたって意識せざるを得ない間柄でした。しかし残念ながら二人は性格的に決定的にわかり合えず、当初ピカソに憧れていたシャガールは「ピカソを想う](1914)という作品を描いたものの、後に「ピカソにうんざりしたシャガール」(1921)という作品を描いています。
二人の関係を表した有名なエピソードがあります。

第二次大戦後、亡命先のアメリカからフランスに帰国したシャガールはピカソに会いたいと望み、娘のイーダの手配で画商のテリアド邸での昼食会が実現しました。最初は表面上和やかに会話が進みましたが、次第にお互いに皮肉と当てこすりの言い合いになり、不快感を爆発させてしまいました。そして二人は酔い潰れて、後に「流血の惨劇」と言われる結果になってしまったのです。その後二人は二度と会うことはなかったと言います。

それでもピカソは後に「シャガールの色彩は本物だ」と褒め称えていましたし、シャガールもピカソの才能は認めていたようです。そもそも、二人の気性で最も違うところは、ピカソが多くの女性を愛せたのに対し、シャガールは最愛のベラのことしか考えられなかった・・というところだそうで。考えてみれば、ピカソはその生涯の中で画風を頻繁に変えたのに対し、シャガールはその絵を生涯変えることがなかったというのも興味深い対比ですね。

あなたはピカソとシャガール、どちらの絵がお好きですか?

〈掲載作品〉 マルク・シャガール「画家とその二重像」(1981  Mレゾネ№992 ED 15,000部)