〈復刻〉浮世絵展
2025年4月 葛飾北斎、喜多川歌麿など人気の浮世絵師たちの作品を集めた「復刻浮世絵展」を開催いたしました。今年はNHK大河ドラマで蔦屋重三郎が取り上げられた効果もあり、全国的に浮世絵人気が再燃しています。今回も蔦屋重三郎が見出した喜多川歌麿、東洲斎写楽、また葛飾北斎の富嶽三六景、歌川広重の東海道五十三次、名所江戸百景などの作品など30点余りを展示いたしました。
「復刻版」というと複製品をイメージする方もいらっしゃると思いますが、当時から浮世絵の制作は分業制でした。北斎や広重といった絵師が下図を描き、それを元に彫り師と言われる職人が版木を彫り上げます。その版木に摺師と言われる職人が色を乗せ和紙に摺るのです。そしてそれらの企画・制作・販売を担っていたのが蔦重たち。いわゆる版元と言われる店(会社?)だったのです。特に北斎の富嶽三六景や広重の東海道五十三次は当時の旅ブームもあって、庶民の間で大変な人気だったと言います。今回展示するのは当時の絵師たちの絵を現代の職人たちが手掛けた浮世絵作品です。ですので、わざわざ「復刻」などと付ける必要はなく、これらも本物の「浮世絵」といっても間違いではないのです。
当時の浮世絵は庶民も手に取りやすい大変な廉価で販売されていました。もちろん幕府による検閲や制限などもあり、一時期は衰退の危機もありましたが、それらを乗り越え浮世絵師や職人たちは次々と名作を生み出していったのです。そして浮世絵はやがて海を越え、モネやゴッホなど19世紀の欧州の画家たちに多大な影響を与えていくこととなります。
今回の展示でも大河ドラマの影響もあり多くのお客様にご来場いただきました。そして皆さん、作品に描かれている風景や登場人物を観て当時の江戸の街並や文化、なにより今の私たちと変わらない当時の人々の暮らしに思いを馳せ、とても楽しそうに鑑賞されているのが印象的でした。ギャラリーでは美術館などとは違いお客様同士で会話しながら鑑賞することができます。その様子は自然と対話型鑑賞法に近い形となっていき、私自身もお客様からたくさんの事を教えていただいたり、新たな発見をしたりと大変楽しい展示となりました。ご来場いただいた皆様誠にありがとうございました。
会場の様子はYOUTUBEのショート動画でご覧になれます。